デジタル・カメラ10年③(Canon EOS 5D)

キヤノン EOS 5Dは、2005年8月22日に発表された、1280万画素のキヤノン製一眼レフデジタルカメラです。EOS 10Dの血筋を組むEOS 50Dの上級機という位置づけです。


最初の廉価版35mm判フルサイズカメラであるにもかかわらず、プロ用のカメラに比べて軽量で、注目を集めました。
発売当初は予約しないと購入できない状態が続き、今のiPhoneやiPadほどではないにせよ、「買えた」「買えない」の大騒ぎでした。
2008年11月に後継機のEOS 5D Mark II(現行機)が発売されるまで3年以上にわたって発売された、製品ライフサイクルの短いデジカメとしては、異例のロングセラー商品となりまいた。高感度でもきれいに映り、長時間露出でもノイズが少ないという特徴もありました。

購入したのは、どうやら、2005年10月11日です。発売されて2ヵ月後のことです。
おそらく、中野のフジヤカメラで購入したと思うのですが、中野サンプラザの写真が残っていません。たしか、かなり遅い時間にクルマで買いに行き、クルマの中で何枚か試しどりをしたのを覚えています。
ISO1600くらいにあげて撮影したのに、ノイズがぜんぜん写っておらず仰天したのを覚えています。
ただし、その写真は、どうやら消去してしまっているようです。文章やメールは何でもとっておく私ですが、意味のない写真や失敗写真は消していますので、そのときも後日消去したのでしょう。

なぜ、2005年10月11日と断定できるのかといいますと、翌日の2005年10月12日の写真に、大きな手がかりがありました。

なんと、新幹線の中で、富士山を18枚撮影しています。そのうちの1枚がこれです。

データを確認すると、撮影機種は5D。間違いありません。

いい歳をした大人が、新富士のあたりで、写真をパシャ!パシャ!ととりまくっているわけです。買ったばかりのカメラを置いて出張に行くのが嫌だったので、おそらく、かばんにいれて、持ってきたのでしょう。

そこに富士山 ド~ン ですから

キタ~

となったわけでしょうね。おそらく。

ちなみに、この日は日帰り出張だったようです。夕方5時台には、すでに飛行機に乗っています。機内で撮影した写真が発見されましたので、間違いありません。
めずらしいですね。大阪はたいてい2泊が多いのですが… メールをチェックすれば、どんな出張だったのかもわかるかもしれませんが、まあ、それは後日確認してみます。

発見された飛行機の中から撮影した1枚がこちら。

多い年には年間50回以上大阪に出張していた時期ですが、飛行機の中で撮影に成功した富士山はこれ1枚だけ

「望遠レンズがあれば」

と悔やんだのを覚えています。カメラについていたのは標準レンズ(50mmF1.4)。出張に馬鹿でかい望遠レンズを持っていくほどアホではなかったことがわかる貴重な作品です。
そこで、1,280万画素の長所を生かしたトリミング(切り取り・拡大)した画像がこちらです。画素数が多いので、少しばかり、切り出したり、拡大したりしても、画像がギザギザになったり、モザイクっぽくなったりしないのです。

飛行機の中の割にはよく撮れていますね。

5Dの特徴はなんと言ってもフルサイズセンサー(撮像素子:35.8 x 23.9mmフルサイズCMOSセンサー)がついて、有効画素数が約1280万画素(総画素1330万画素)となったことです。

今でこそ携帯電話でも1,000万画素に迫るもの、超えるものが出てきましたが、3年前には画期的でした。画素数が大きいと言うことは、本当は欠点もあるのですが、トリミングしたり(写真の一部を切り取って拡大したり)、大きく引き伸ばしたりできるという点でいろいろ便利なのです。

フルサイズセンサーについては、2008年から3年たった現在においても、いまだに貴重なセンサーです。現在売られているデジタル一眼レフのほとんどは、もう少しサイズの小さいAPS-Cサイズのセンサーを採用しているからです。

センサーとは、昔のカメラでいえば、フィルムにあたるところです。簡単にいえば、フィルムでもセンサーでも大きいほうが画質的に有利です。たとえば、皆さんがメモをとろうとしたときに、折り紙くらいのメモ帳であれば、すんなり字が書けるでしょうが、切手サイズのメモ帳では、小さすぎてきれいな文字で書くことは難しいでしょう。写真の場合でも、サイズの大きいフィルムやセンサーのほうが、きれいに写せると考えてみてください。

記念写真とか集合写真のとき、偉く大きなカメラで写真をとるでしょう。

「なんであんな大きいカメラが必要なんだ」

と思いますが、カメラが大きいということは、中に入っているフィルムやセンサーのサイズが大きいということです。
プロのカメラ屋さんが使うフィルムやセンサーは、一般に私たちが使っているものよりも大型です。そのほうが画質がよく、仮に大きく引き伸ばしても、きれいに写るのです。

大きなセンサーを使うと、ボケが大きくなります。ボケとは、写真に写っている人物なんかの背景を意識的にぼんやりとぼやけさせるテクニックです。人物を引き立たせたいなどという場合には、ボケが大きくなるように、撮影するといいのです。

ただし、旅行の写真のときなどには気をつけましょう。

たとえば、軽井沢旅行の際に、見晴台で浅間山をバックに家族写真を撮る場合を考えて見ましょう。ボケが多いと、家族の写真は際立ちますが、バックの浅間山がはぼやけてしまって、それが軽井沢の名所・見晴台であることはわからなくなってしまいます。
そうなってしまっては、「家族旅行の1コマ」として使うことはできなくなってしまいます。

人物にスポットを当てたいときはぼかす。風景をとるときはぼかさない。

と覚えておけばいいわけです。

ボケの考え方を、最初に美術の世界に持ち込んだのは、レオナルド・ダ・ビンチだという説があります。

かの有名な「モナリザ」で使われた、色によって遠近感を表す手法です。近くのものほど彩度を高くはっきりと、遠くのものほど彩度を低く空に溶け込んだように描く手法です。遠くのものは少し青みがかるように描くなど、色によって遠近感を出す手法です。空気遠近法(色彩遠近法)と呼ばれています。線遠近法が使えないときに用いられるそうです。美術史はまったくの専門外なので、間違っていたらすみません。

「大きなボケが期待できるなら、どのカメラもフルサイズ・センサーを導入すればいいじゃないか・・・」

誰でもそう思うのですが、ここで、コストの壁が立ちはだかります。

「フルサイズ・センサーは高い

という大きな欠点があるのです。
2011年になっても、根本的にこの問題は解決しておらず、なかなかフルサイズ・センサーは普及せず、1サイズ下のサイズであるAPS-Cサイズが普及し、さらに小さなサイズであるフォーサーズといった規格のセンサーも登場しています。

抜群のボケ味が魅力の5Dですが、当時の私はさほどボケには興味がなく、むしろ、とにかく高感度に強く、長時間露出ができるというので、天体撮影に威力を発揮するのではないかと大きな期待を寄せていました。

もっとも、実際にはなかなか難しいものでした。最大のネックは

ピント

です。

暗い夜空は、光学式ファインダー(液晶ではなくて、目で覗くファインダー)で、ピントをうまく合わせることができません。
何度も取り直して、微調整を繰り返さなければならなかったのです。
夏はともかく、冬の日光戦場ヶ原(天体撮影のメッカ)では、手がかじかんで、ピント1つあわせるのに30分以上かかったりしました。私の腕の問題もあるのですが、これは正直たまったものではありませんでした。修行というか、苦行というか。しんどかったです。
5Dをはじめ、この頃のデジタル一眼レフカメラにも、ボディ背面に液晶画面はついていたのですが、これはあくまでも撮影した後の映像を確認するための画面です。撮り終わった写真はすぐに確認できるのですが、ピントあわせには使えなかったのです。

2011年現在において、デジタル一眼レフカメラは、どこのメーカーのものも、液晶画面を使って、ピントを合わせることができるようになりました。この機能は、一般にライブビュー機能とよばれ、5D発売からちょうど2年後にあたる2007年8月31日発売のCanon EOS 40D にはじめて搭載された機能でした。ですから、5D発売時には、まだ世の中に存在しない機能でした。

ここまで読んでくださった方の中には、「うちのデジカメは、以前から液晶でピントが合うよ。液晶でピントを合わせるのってそんなに難しいことなの?」と思われている方が大半だと思います。

そうなんです。デジタル一眼レフカメラではない、普通のデジカメ(いわゆるコンパクト・デジカメ)では、液晶でピントを合わせるのはごく当たり前のことです。
ですが、特殊な機構を持っているデジタル一眼レフ。カメラの場合、その当たり前のことがなかなかできるようにならず、最近まで、背面の液晶は、撮影後の写真の確認用にしか使えなかったのです。デジタル一眼レフのアキレス腱だったわけですね。

当時、5Dで、ピント合わせに苦労しながら、天文ファンのメッカである日光戦場ヶ原で撮影した写真はこちら。オリオン座の大星雲(M42)ですね。トリミングしたものです。

<次回に続く>

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