南八ヶ岳縦走(最終回:赤城でもなければ、アカギでもない)

朝です。
天候は晴れ。風はありますが、とても気持ちのいい朝です。

今日は硫黄岳の頂を踏み、そのまま、美濃戸口へと下山し、そのまま、自宅まで一気に帰ってくるという予定になっています。

あまり遅くなると、中央自動車道が混むだろうということで、早めの出立。
他のお客さんが朝食の準備をしているのを見ながら、出発の準備を整えます。

「朝早いと食欲もないから、硫黄岳山頂で朝食をとろう」

と考えたわけです。

これが実は裏目に出ます。

宿の外には霜柱。やっぱり、3,000メートル近い高山では、もう、朝方は文句なく寒いですね。

硫黄岳山荘から硫黄岳まではものの30分くらい。頂上は見えていますので、体感的にも近く感じます。ほぼ目の前という感じです。

岩がごろごろころがっているところをずんずん登っていけば言い訳です。

東の空は太陽でまぶしく、雲海が光って見えます。

西の空は朝日に照らされ、これまたとても美しい。

硫黄岳までの山道には、等間隔に大きなケルンが築かれており、それをたどっていけば頂上に行けることを示しています。

もっとも、この見晴らしでは、道に迷うはずもありません。ほぼ直線ルートで頂上をめざせばよいだけです。

僅かな距離だと思って甘く見ていたのですが、いわゆるガレ場であり、実に歩きにくいコースです。

それでも、ケルンを数えながら、歩いていくと、程なく山頂に到着です。

昨日歩いてきた山々が後ろに見えます(赤岳~横岳)

頂上から見ることができる東側の爆裂火口。噂通りのすごさです。

交代で記念撮影。

爆裂火口はすごいのですが、もちろん立ち入り禁止。これとは対照的に、硫黄岳は頂上が広く、学校の遠足できても、生徒全員が山頂でレジャー・シートを広げ、お弁当を楽しむことができるほどです。

北方面には、天狗岳をはじめとする北八ヶ岳の山々。次回は、あっちも行ってみたいですね。

しかし、早朝故、

「気温が低く」

しかも、

「風が強い」

ううむ、予想外の展開にびっくりです。鼻水が止まりませんし、手もかじかんでいます。

これほど寒いとは思いませんでした…

「寒いけど、とりあえず、朝食を作ろう」

「ケルンの後ろなら、ある程度風を防げそうだ」

ということで場所を移動。

移動しながら、朝日をバックに、ケルンを用いて、偽ブロッケン現象を捏造。偽ブロッケン伯爵と呼んでください。

本物のブロッケン伯爵はこちら(『マジンガーZ』より)。

©ダイナミック・プロ

さてさて。

ケルンの後ろでも、風が弱いような、そんなに変わらないような(苦笑)

いそいで、ストープ(暖炉の意味ではなく、山岳用語では、バーナー(コンロ)のことです)を出します。

「着火!」

しかし…

火が弱く

「なんじゃこりゃ」

そうなんです。低温のためガスの気化が弱く、かつ、せっかく生じた熱風はすぐさま強風で流される。これでは、鍋に入れた水がいっこうに沸騰しません。

「まだかね」

「まだだね」

「寒いねえ」

「寒いねえ」

「沸いた?」

「沸かない」

「風が強いねえ」

「風が強いねえ」

夫婦間で不毛な会話が何度となく繰り返されます。写真がないことからも、余裕のなさがわかります。

予備のバーナーに切り替えたり、ガス・カートリッジを入れ替えたりと、工夫をしてみたものの、全く効果なし。

30分が過ぎようとしています。

宿で

「お早いお発ちですね。お気をつけて」

と言ってくれた人たちが、どんどん抜いていきます

これでは、早めに出立した意味がありません

結局、山頂でできたのは、次の2点だけ。

① ぬるめのお湯で溶かしたみそ汁を飲む
② ぬるめのお湯をアルファ米にかけ、そのまま封をした(移動後、後で食べるため)

とにかく寒くて寒くて、早く退散するしかありません。

新潟の山々が遠くに見えます。

とりあえず、山頂での記念撮影だけはしておこうということになり、パシャリ。

正直、写真より下山。お互い、気持ちの入っていない一枚です。

稜線を赤岳鉱泉方面に下山。最終的にはクルマのある美濃戸口まで歩きます。

下山し始めて、すぐに気づいたこと。

風がない
汗ばむほどの暖かさ

なんと寒かったのは、吹きさらし状態の山頂だけ。山頂以外の場所で食事をしていれば、強風にさらされることはなく、ほのぼのとした朝食となったはずなのです。時間のロスも防げたはずです。

結局、1時間ほど下り続けます。当然ですが、赤岳鉱泉まで休憩はとりません。
今までの風景とは打って変わり、樹林帯。林間学校のハイキングにぴったりのコースです。
木々の間から、時折、昨日のコース(赤岳~横岳~硫黄岳山荘)が見えます。大分降りてきたことがわかります。

先程登ってきたケルンの積まれた一本道がよく見えます。

今回、行程の関係で泊まれなかったオーレン小屋

「さようならあ 必ず帰ってくるからなああ」

心の中で手を振ります。

「さようならあ 次回は絶対桜鍋(オーレン小屋の名物の馬肉すき焼き)食べに来るからなあ」

ああ、ちょっと後悔。花より団子。山もいいけど、馬肉も食べたい…わけですね。

あたたくなってきたので、ちょっと小休止。頂上でまともにとれなかった記念撮影。硫黄岳をバックに1枚撮っておきました。

ようやく赤岳鉱泉に到着。

朝食の仕切り直しです。
ところが、ぬるま湯につけてふかしたアルファ米が思った以上にちゃんとできあがっており、うれしい誤算
これなら十分にいただけます。

そして、この日までとっておいた(というほどのことはないのですが)、なすみそ飯と親子丼の素を暖めます。最近のドライフーズはすごいですね。こんなものまで、山に持ち込める… レトルトなら珍しくないのですが、あれは水が入っていますから重いのでパス。原則として、我が家はレトルトは山に持ってこないのです。

なすみそ飯と親子丼。ううむ。見事な味です。山小屋ごはんを上回るおいしさ。まあ、歩いたあとの朝食ですから、空腹だったこともあるのでしょうが、これはgood! 次回も持っていくことにします。

腹が減っていたので、写真がなくて申し訳ありません。

赤岳鉱泉から美濃戸まではだらだらと下ります。

赤岳鉱泉を出ますと、バックにはちょうど真横から見た横岳が見えます。恐竜の背中のようにゴツゴツした尾根道。昨日は、あれを右から左にがんばったわけですね。

ここから先は、もう、さほどきつい道ということはありません。川沿い、沢沿いに、木々の間を歩いていくという感じです。

沢沿いの道なので、時折、一本橋に差し掛かります。

ちょっとぐらぐらしながら、一本橋をわたるわけですが、そのたんびに、

「あ、アカギだ」

とおくさんがニヤリとします。

彼女のいうアカギとは、日本百名山の1つ赤城山ではありません(過去の赤城山ハイキングについては後日アップ予定)。

福本伸行という漫画家が描いている麻雀漫画

「アカギ」

を指しています。

『アカギ』(福本信行)

で、わかる方にはわかると思うのですが、ここでの彼女の台詞

「あ、アカギだ」

は明らかに間違え。勘違いです。
おそらく彼女がいいたいのは、同じ福本さんが描いている、主人公たちが、高層ビルの高層階に用意された一本橋を渡りきると、多額の報酬がもらえるという究極のゲームに参加する…というストーリーで有名な漫画…

カイジ

を彷彿させるシチュエーションだよ…といいたいわけです。

『カイジ』(福本信行)

アカギカイジも、深夜時間帯にテレビ・アニメになりましたし、カイジに至っては、昨年くらいですかね、フジテレビが協賛で映画までやりました。主演は藤原竜也君・天海祐希さんでしたね。

しかし、一本橋とダブるストーリーを持っているのは、「カイジ」です。麻雀ばっかりやっている「アカギ」とはちょいと違う(「アカギ」の麻雀も負けると値を抜かれるとか、すごいストーリーですが)。

とにかく、おくさんの主張する「アカギ」は、今回、絶対に出番はないわけです。

歩いていくと、また、一本橋がかかっています。

「あ、また、アカギだ」

ちがうっちゅうにいいいいい。アカギじゃなくてなくて、カイジです。

これは、「ドカベン」を読んで、「一球さんはおもしろいねえ」といったり、「リングにかけろ」と「聖闘士星矢」の必殺技を混同したり、「サザエさん」を読んで、「いじわるばあさんは四コマ漫画の金字塔だな」といったりするのと、同じなのです。

ま、よしとしましょう。本人は、「アカギ」だと思っているわけですから。

この辺りの川は、鉄の影響でしょうか、水がとてもい。赤岳自身、酸化の影響で、山全体がいのですが、その麓の沢の水もあやはり真っ赤っかなんですね。

林の中を抜けて、緩やかな坂道を降りると…

ようやく、登山道のスタート地点(熊騒ぎのあった)美濃戸に到着。

というわけで記念撮影。

ここまでクルマで登っていれば、このまますっと帰れたんですがねえ。お腹をこすりたくなかった我々はここから40分ほど下の美濃戸口までもうちょっとだけ歩かなければなりません。

もうひと頑張りで、最後の下りです。といってもクルマが通れる道ですからね。すでに、登山ではありませんね。

40分後。無事到着。八ヶ岳山荘の駐車場です。
食事は、移動中に適当に済まそうということになり、すぐに出発です。

渋滞もなく、中央道→圏央道→外環 とスムーズに移動。夕方には無事に帰宅できました。月曜日の午後というのは、案外すいているんですねえ。

中央道で撮った南八ヶ岳の全貌。これは往路に撮っておけばよかった。帰り道は曇ってしまって、イマイチでした。晴れていると、たいへんきれいに写るんですが、残念です。

さてさて。
こうして、我が家の南八ヶ岳縦走は無事終了。クルマでの移動が多い我が家は、なかなか縦走に縁がありません。南八ヶ岳のように一泊二日でぐるりと一周できるルートがあると、たいへん助かりますね。同じ道を歩くのは、なんとなく損している気持ちになりますからね。来年は、再び北岳を訪れたいと思っている我が家ですが、その際は、北岳も縦走したいなあと思いました。

先日の同窓会で、懐かしいワンゲル時代の仲間とも再会。キリマンジャロに登った奴とか、アマゾン川下った奴とか、燕山荘に顔が利く奴とか、いろいろいました。中には、息子2人連れて、夏山小屋泊まりなのに、90リッターのザック背負って登っている奴も!!

みんなすごいですなあ。私は70リットルが限界。ぼちぼちと、国内のお山を楽しみたいと思います。

ああ、でも、先日、NHK「グレートサミット」で見たマッターホルンはいいですねええ。

「家族が僕の50歳の誕生日にツアーをプレゼントしてくれたんだ。明日の登頂が楽しみだよ」

てなことをいっていた外人のおじさん。いい家族をお持ちですねえ。

映像をいっしょに見ていた娘に

「おとうちゃんじゃ絶対無理。死ぬよ」

と釘を刺されました。

でもねえ。反対されるとますます行きたくなるのが、性分なので。
たぶん、行くだろうなあ…

昨年、武漢皆既日食を見に行ったんですが、それとはレベルが違いますからね。ま、まずは、冬山のお勉強でも始めましょう。先の話なので(笑)

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南八ヶ岳縦走(最終回:赤城でもなければ、アカギでもない) への2件のフィードバック

  1. みさわ より:

    お疲れさまでした!(*´∀`*)
    天候も良かったようで、南八ヶ岳を満喫できたのではないでしょうか♪

    しかしこの時期の山頂には参りますよね(;´Д`)
    特に八ヶ岳だととんでもなく風が強いですし、よく30分耐えましたねww
    確かに景色の良い稜線や山頂で食事したくなりますけど、寒さとの戦いですね。

    先日山梨に行きましたが、八ヶ岳は綺麗に冠雪してました。
    年内に赤岳リベンジしたかったのですが…来年に持ち越しです。

  2. ありがとうございます。
    おかげさまで、天候には恵まれました。今年はついに雨具を雨具としては使いませんでしたので(ウインドブレーカーとしては何度か使いましたが)。

    ただし、風にはやられました。全然水が温まらない… 笑いましたね。

    すでに八ヶ岳は冠雪ですか。そうでしょうね。私たちがぎりぎり冬山装備不要の時期だったのでしょうねえ。

    赤岳は逃げませんので笑 私もまた八ヶ岳は訪れたいです。

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